たゆまぬ自己変革のもと、

IH(誘導加熱)技術を世界に広げ、

持続可能な社会の実現に貢献します。

第15次中期経営計画の1年目を終えて

コロナ禍が長引く中、ウクライナ情勢の混迷が深まり、グローバル社会は先行きの見通せない状況にあります。地政学的なリスクからグローバルサプライチェーンの見直しを余儀なくされ、世界のものづくりは生産を現地化する流れが進みます。資源・エネルギー価格高騰の影響も甚大です。
ネツレングループにおいても状況は同じですが、これまでに世界の多地域で生産拠点を整備してきたことが、事業継続の大きな支えとなりました。社内では、製品・技術の価値を見つめ直した営業活動が進むなど、新たな動きも起きています。将来振り返ったときに、状況打開に向けて必死に取り組んだ今が、営業力強化の貴重な機会になるものと確信しています。外部環境をネガティブにとらえることなく、前向きに進化を目指していきます。
大変な状況下ではありましたが、第15次中期経営計画の1年目である2021年度は増収増益となりました。地道な改善を積み上げてきた従業員の努力の結果であり、感謝に堪えません。高強度せん断補強筋のシェア拡大やPC鋼棒の新たなニーズの開拓、北米での高強度ばね鋼線ITW®の増産投資などの進捗のもと、基本戦略で掲げる利益基盤の確立につなげてくることができました。
N-DX※1体制の構築に向けては推進室を新設し動き出していますが、全社的にはまだ変革への意識が不十分な印象があります。単なるデジタル化を超えてネツレングループが目指す具体的な未来像を、私をふくめた経営層が現場に踏み込み、より明確に発信していかなければならないのだと思います。
第15次中期経営計画は「変わろう、変えよう、進化しよう」を趣旨とし、「Change!! 」をスローガンに掲げています。外的要因によってではなく能動的に革新を遂げていくため、経営が率先し、変化を楽しむ風土を醸成していきます。

IH技術で世界ナンバーワン企業を目指す

無公害(Ecological)・省資源(Economical)で環境にやさしいダブル・エコ(W-Eco)なIH技術は、時代が求める技術です。当社の強みは、IH技術をベースに高強度鋼材製品、熱処理受託加工、誘導加熱設備製造という3つの柱を持ち、事業において相互に補完できることです。また、業界トップレベルの材料分析技術やシミュレーション技術、生産技術を有すること、産学協同のプロジェクトが多く、大学や学会とのつながりを活かして業界の最先端をとらえていけるなどの優位性もあります。
今、私たちの大きな目標はIH技術で世界ナンバーワン企業となることです。IH技術は日本や欧米ではすでに普及が進んでいますが、そうではない国や地域も多々あります。すべての大陸をカバーできるよう、これまで拠点を持たなかった地域にも積極的に進出し、IH技術の浸透を目指します。それにより世界の環境負荷を低減し、人々の暮らしと社会の発展を支え続けることこそ、ネツレングループの存在意義であると考えます。

サステナビリティへの貢献を経営の根幹に

企業が長きにわたって存続・成長していくためには、持続可能な社会づくりに貢献し、社会から信頼され続けることが欠かせません。ネツレングループの経営理念は元来サステナビリティを意識したものとなっており、社会への貢献を追求する姿勢は常に当社の根幹にあります。そうした大前提のもと、SDGsを経営の中心に据えて策定したのが「NETUREN VISION 2030」と第15次中期経営計画です。
脱炭素に向けては、従来のスコープ1、スコープ2に加えてスコープ3※2のCO₂排出量の数値化に取り組んでいます。バリューチェーン全体での排出削減がきわめて重要であり、今後は環境負荷の小さい当社製品・技術をお客さまが採用することによる環境貢献量についても算出し、見える化を進めていきます。
人財のダイバーシティも重視しています。女性や外国籍人財の活躍推進を継続・強化するとともに、「多様な視点を得て、事業のリスク低減や新たな価値創造につなげる」というダイバーシティの本質に注目し、さまざまな人財の力を活かしていきます。
人権問題への対応も、近年高まり続ける社会からの要請です。グローバル企業としての当社の考え方を明確にするため、2022年4月には「ネツレングループ人権方針」を制定しました。本方針は10カ国語に翻訳し、世界のグループ全拠点で徹底して浸透を図っていきます。

挑戦し続ける従業員を進化への力に

ネツレンはまじめな従業員が集まる会社です。これは当社を特徴づける大きな長所である一方、まじめであるがゆえに「尖ったもの」が出づらく、現状維持に陥りがちな側面が見られます。従業員には、「NETURENVISION 2030」の実現に向けて大きく変わろうとしている会社の姿勢を理解し、変わること、変えることへの一歩を踏み出してほしいと思っています。納得できないことは腹落ちするまで議論し、異なる意見を臆せず発信してください。経営層と従業員がコミュニケーションを深める機会を創出すべく、現在は人財本部・経営企画室が中心となって計画を進めているところです。
ネツレンの進化と躍進を支えるのは、挑戦し続ける従業員一人ひとりです。グループの総力を結集して新たなネツレンを創り上げ、企業価値の向上と持続可能な社会への貢献を目指していきます。

  1. N-DX:ネツレンデジタルトランスフォーメーション
  2. スコープ1:直接排出、スコープ2:エネルギー使用に伴う間接排出、スコープ3:事業者の活動に関連する他社の排出

 

代表取締役社長執行役員
大宮 克己